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手慰み2 解決編


と、言うわけで解決編です。




オレは興奮していた、攻守交替だ。三人がアホ面さげてこっちを見ていやがる。
「まぁったく、こんな程度の事も分からないなんて脳味噌にカビでも生えてるのか?キャベツ頭も良いところだぜ?」
オレはそう言うと嘲笑と侮蔑を顔一杯に表してやった。
「いくらなんでも失礼すぎないか?」
「ヒドーイ! 薫さーん」
「私の事をそういうのは構いません…、けれどお二人を侮辱するのはやめてください。いくらなんでも酷すぎます…あなたがそんな事言う人だったなんて…」
おーおー、三者三様、口ごたえはご立派ときてる。そのご立派な部分をミソの中に少しでも回してりゃ面倒は無かったんだよ。
「ま、怒るな怒るな。謎解きしてやるから、まずアンタ等が聞いたガラスの割れる音だが…、ありゃガラスじゃない、氷だよ。ありがちなトリックだ、氷を割ってガラスの音に見せかけただけなんだよ、だから実際に犯行が行われた時間帯は違う事になる。多分…自由時間でアンタ等が好き勝手してた時に行われたんだろ」
はは、能無し共がこっち見てら。じゃあこのままご清聴して頂くとしますか。
「次にドアが開かなかった問題だが、アレも簡単な話だ。アンタ等言ったよな『物でも石に出来る』みたいな事、ベルトを使って片方はドアノブに結びつける、もう片方はオレが足をぶつけたあの棚にでも結ぶなりしたんだろ。そして廊下に出るとドアの隙間からアンタ等お得意の『魔法』でベルトを石に変えたって分けさ。どのくらい遠くの物を石に出来るのかは知らんが、少なくともアリス、お前がオレの煙草を石にした時の距離程度なら問題無いって事だな。で、石になったベルトはつっかえ棒の役割を果たす事になり、ドアが開かなくなるって寸法だな。所詮ベルトの大きさしかないつっかえ棒だから『意外とアッサリ』ベルトは割れちまうが割れたベルトの破片はドアを開けた時の衝撃で部屋の中に散乱する…、散乱するが部屋中ポーが着ていた服の破片が散乱しているんだからベルトの破片には気がつかない、ってワケだ。木の葉を隠すなら森の中、石を隠すにゃ砂利の中だな。そうやって外部犯の可能性を作り出したかったんだろうよ犯人は、って事はつまり犯人はこの中に居るって事だな」
「そんな前置きはいいから犯人が誰か言ってくださいよー、薫さーん」
「まぁ聞け、人の話を聞かないヤツは人に話聞いてもらえないんだぜ? それにもうそろそろ確信部分だ、犯人は自由時間にポーを哀れなオブジェに変え、その後窓を割った、割ったといってもガムテープで目張りして割ったんだろうな、この時点で音を立てないように、そして使ったガムテープを空き部屋に捨てた、だからガムテープの粘着面がキラキラガラス片で光ってたわけだ、で、さっき言ったようにドアに細工をし、その後あらかじめ用意した氷…、外のポリバケツに貯めた水を凍らせたんだろうが。それを割って自分の犯行を知らせたって寸法だ」
一拍置いて言ってやる。
「だろ? クイーンさん。アンタ外で煙草吸ってた時に氷割ったんだろ」
一気に注目がオレからクイーンに集まる。ハハハ、こりゃ愉快だ。よしもういっちょ責めてやるか。
「反論あるなら言ってみろ、そうだなヒントやるよ、ヒント。氷を割るってだけなら誰でも出来る、例えばカァが風呂場に氷持って行って割った、でお湯でとかして証拠隠滅。ってのはどうだ? ハハ、どうだ? お友達に罪をおっかぶせてみろよ」
罠を張ってやった。仮にカァがそれをやったとしたら氷を持ってウロウロする事になる。それに氷が解けて水が床にたれるだろうし、一階にはアリスが居る。また仮にアリスに罪を被せるならば…いやその時はそれでもかまわないし、そのままアリスに罪をおっかぶせるつもりではあったが、台所のシンクで割ったとしたらそれだけの氷が辺りに散らばるし、シンクに傷が付いているだろう。その点クイーンは外に居た。外は一面雪景色で氷を割ったとしても破片に気が付かないだろうし、仮に気が付いてもツララかなにかが屋根から落ちたと解釈させられる。
 長い沈黙の後、クイーンが口を開いた。
「私が…、私がやった…、本当はこんな事したくなかった!! しかしポーが…」
「あ、おい、その話長くなる? オレさっさと帰りたいんだけど」
話をさえぎってやった、くだらん犯行理由なんぞ聞きたくないね、オレ。というか理由なんて何だって良い、太陽が眩しかったからでもいいんじゃね? いや雪が降っていたから、か今の状況なら。
 するとカァが、
「……もう我慢できません。あなたはやっぱり最低です。そうやって全能感に浸って…、引っ掻き回して。なんですかあなたは!」
…ヒスかよ。
「そもそも、今回の事件だって私達があなたの指摘した事に気が付いていなかったと本当に思っているんですか? そうだとしたらあなたこそ本当の馬鹿ですよ!」
なにを言っているんだ? こいつは、オレはアンタ等の求めに従って解決してやったんだろ? それを馬鹿だと? フザけんな。 
「おいテメェなに…」
「本当はあなたの解決なんて期待していなかった、ただ、クイーンが、…クイーンさんが自白するきっかけさえ出来ればそれで良かったんです」
「は!アンタ、オレが事件を解決した途端にそれか!? そもそも『気が付いていた』だぁ? 何を根拠にそんな事言えんだよ」
「私達は…私たち四人は友達です」
「は?」
「根拠はそれだけです。友達だから相手が一体何を考え、どうしたいのかを考える。当然じゃないですか、あなたはそんな事も分からない」
「無いも同然じゃないか根拠」
アリスが会話に割り込んできた
「薫さーん、こういう時って必要ないんじゃないですか? 根拠って」
「まぁ、あなた流に言えば『微妙な表情の変化や普段との違い』が根拠になるんでしょうね、けど私達にそんな説明は必要ない。ただ『なんとなく』で十分なんです。それだけで十分に伝わる」
何なんだコイツ等、気味が悪い。
「あなたはそうやって『これが真実だ』と物事の表層をなぞって言っていれば良い、その実何も分かっていないんです、心とか気持ちとかを」
「不愉快だ、さっさと元の場所に帰してくれ」
もう聞いていられない。
「ええ、帰しますよ。あなたを此処に留め置く理由はもうありませんし、あなたに対して何も未練はありません。事件の解決をしてくださって本当にありがとうございました、この山荘を出たら振り返らず歩いてください、そうすれば帰れます。あとの事はこちらで処理します」
こんな所に一分一秒たりとも居たくはない。オレはさっさと上着を着て外に出た、するとアリスが見送りにきた。
「あんまり気にしちゃ駄目ですよ、薫さん。あ、それとあとでお礼持っていきますからね」
こんなヤツに哀れまれる筋合いは無いし二度と会いたくない、決して、決してだ。オレは返事もせずにさっさと暗闇へと歩き出した。


エピローグ
…目を開けると見慣れた天井がある、どうやら夢だったらしい。悪夢もいいところだ。
「薫さーん、お礼渡しに来ましたよ!」
畜生。


読者への再挑戦
主人公、薫の性別は男性?女性?
ヒントは文中


後書き
うーん、やっぱSS書きさん達みたいに上手く書けないねぇ
内容的には最後のフルボッコは法月の『密閉教室』でもあったけどね、あと『ボトルネック』 米澤穂信のも主人公フルボッコになりますね
まぁ推理小説って人死ぬ内容多いし、解決しました~世は全てこともなしなんて展開になるわけないわね実際。被害者が確実にいるんだから
それにある意味探偵役ってのは自分の推理力を誇ってはいるけどそんなもんカンニングの結果だもんね
後期クイーン問題とかってヤツの存在もあるし。
というわけで自分が今回書いたのもフルボッコしておいたって感じです。
視点は一人称、三人称、一人称ってなるようにしてみました、上手く行ったかは分からない。加えて固め成分うっすい、ロジックが正しいかはビミョーだけど自分は楽しかったから良かった良かった。
 続けられそうな終わりにしてるけど多分次は無いなコレは、気が向いたら書くかも知れないけどまぁ…多分書かないんじゃね?って感じかなぁ。
 っていうか横書きでブログって形式じゃあ長い文章一気に出すのは暴力的だったと反省。
 次回は固め絵、もしくはそのお茶濁し。
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No title

じょせいであってほしい

Re: No title

> じょせいであってほしい
レスポンスありがとうございます
書くとき代名詞一々チェックしたり無駄な努力して暈しましたけど実際かなりハッキリ描いちゃったかなと反省してますねー。
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